私は英語学習の王道である「文法→単語→読解」路線に、まったく向いていなかった。
でもその理由は、単なる性格の問題ではなく、自分の発達障害(脳の構造)に大きく関係していることに気づいた。
この記事では、私が選んだ学習法、背景にある理論、そして発達特性との関係をまとめる。
経緯
2025年5月から言語学習がマイブームとなった。
フランチェスコのせい(これは前回のblogをご覧ください)でイタリア語の学習を始めたことがきっかけだ。
イタリア語を学習するとき、必然的に英語と対照させたほうが理解がスムーズになることに気付き、それならいっそ中途半端な英語もあわせて学習しようと考えた。
この記事を書いている2025年6月末時点でおよそ1か月経つが、言語学習への熱が冷めないどころか増々夢中になっているので、ここらへんできちんと目標を決めて取り組もうと思う。
さらに、わたしの言語学習がかなりレアケースのようなのでここで一度整理しておきたい。
この記事では、
- わたしのように右脳特性をもつ発達障害の言語学習のやり方について
- 定型発達でもなんか学校の英語の授業合わなかったんだよな、って人へ
- 英語に苦手意識を持っている人へ
もしかするとヒントになるかもしれない。
わたしは中学レベルのベイビー英語
まずはわたしの英語力がどの程度なのかというと、学校のカリキュラムでいうと中学3年卒程度だと思う。
つまり義務教育を受けた皆と同じ程度の語彙・文法を知っている。
英検もあるはずなんだが何級だったかはとうに忘れた(わたしにとって英語の魅力はその程度だった)。
ただ中学2年生のときにアメリカへ行って以来、自分の世界が広がって海外旅行が好きになった。
大人になってからも何度かアメリカへ行ったし、イギリス、バリにも行った。
そのせいか耳だけは発達した。
リスニングが一番得意で、相手がなにを言っているのかはだいたいわかる。
また、大人になってから洋書を読み漁っていた時期がある。
それはわたしの仕事に関係する書物(魔術書、ハーブ学、占星術、編み物など)。つまり専門的な語彙だけは知っている。
なんとなく英語を読むこともできるようになったのだが、自分の好きな分野の英語だけを知っていて、基本的な日常英語がわからないというギャップが生まれてしまった。
好きなことを繰り返してしまう特性
ただ、好きなことに対しては貪欲に追求する姿勢をもっていた。
わからないことがあればネットやYouTubeで調べて、記事を読んだり、動画を視聴したりした。
YouTubeに至っては日本人よりも外国人の動画のほうが面白くて視聴するようになった。
さらに最初にアメリカへ行ったとき、ホストファミリーからもらったDestiny’s ChildのCDが宝物になって、それからというもの洋楽R&Bにハマった。
これまたJ-popよりも洋楽ばかりを聞いてた。
また父の影響で映画好きになり、繰り返し洋画ばかり見ていた。
今振り返れば、わたしの周りには英語の環境は溢れていた。
しかし学校の授業はわたしにまったく合っていないと感じていた。
これは英語に限ったことではないのだが、どうしてノートに書かなければならないのか、先生の話を黙って聞かなければならないのか、疑問点をぶつけても曖昧に答えるのか、まったくわからないし、期待外れで、退屈だった。
だから「学校の英語」が得意だったわけではない。
社会の歴史などと同じように、テストの点数を取るためにまるっと暗記すればいい程度の、特に魅力に思うこともない科目だった。
同じように「学校の英語」が苦手だったという意識をもつ人も多いのではないだろうか?
実は、言語学習には以下の4つのパターンがあり、自分になにが合っているかを選ぶ必要がある。
言語習得法の種類:学習法の「型」
文法翻訳法(Grammar-Translation Method)
- 日本の学校教育の王道
- 文法規則 → 単語暗記 → 日本語訳 → 英文和訳中心
- 理屈を重視するが、実際の会話には結びつきづらい
コミュニカティブ法(Communicative Approach)
- 意味理解を優先、会話中心
- 実用会話の訓練として英会話教室で多用される
- ただし、文法整理が薄く、初期の混乱も起きやすい
ナチュラルアプローチ(Natural Approach)
- ネイティブの子どもが言語を覚えるプロセスに近い
- 音のインプット先行 → 意味理解は後から自然に整理
- 聴覚中心の「チャンク(音のまとまり)」で覚えていく
オーディオリンガル法(Audio-Lingual Method)
- 模範音声を反復練習 → 音模倣中心の訓練型
- 第二次大戦後の軍事通訳訓練に発展した反復型メソッド
私が選んだのはナチュラルアプローチ+α
私の学び方は、上記の中でもナチュラルアプローチに非常に近い。
経緯のどこをとっても先に「耳」を使っているし、意味がわからなくても好きになったものは繰り返し「耳」に入れたい欲求がある。
チャンク(音のまとまり)を覚えることは日常的にやっているとすら思う。
チャンクとは”How are you doing?” のようなワンフレーズの言葉だ。
たとえば魔女の祈りの呪文や聖書の朗読、歌を歌うこと、マントラを唱えることなどがこれにあたる。
わたしはこれを日本語、ラテン語、ヘブライ語、イタリア語などで日常的に唱えていたので容易くイメージできる。
またわたしの場合は、「音だけ」ではなく「構造整理」も並行して行う。
最初に右脳優位→左脳優位を交互に繰り返すやり方だ。
右脳優位
- 音のリズム
- 抑揚
- メロディ
- 音の全体像(塊で捉える)
- 感情ニュアンス・イントネーション
音模倣(Natural Approach)「洋楽を耳だけで聞いて、スッと模写して覚える」のはほぼ右脳の仕事。歌詞や字幕は見ず、耳で「自然な塊」を記憶する。
左脳優位
- 文法ルール
- 因果関係
- 構文の法則整理
- 論理的な理解・言語の分析
たとえば「現在完了はどういう意味?」と考えるのは左脳の仕事。文法や語彙は「ざっくり構文理解」だけ整理(脳内で本棚化)する。
つまりわたしの脳内では、「右脳吸収 → 左脳整理 → 右脳出力」 という独自回路が作られてる。
- ① 右脳で音や絵を模写して一気に取り込む
- ② 取り込んだ後に左脳で「全体の整理棚に収める」
- ③ 右脳が自然にその整理結果を自動出力する
(余談だが、「脳のなかの本棚」というと仮面ライダーWの「地球の本棚(ガイアライブラリ)」感がある…)
発達障害=「学習が苦手」ではない
学習スタイルが大きく違うだけであって、定型発達(一般型)とは情報処理の優位性が違うだけだ。

ASD(自閉スペクトラム)と語学習得の特徴
ASDの人は、構造化・パターン抽出が非常に得意で、文法規則や構文パターンを理解しやすい傾向がある。
また、音律・音韻感覚にも鋭く、発音やイントネーション模写が得意になるケースが多い。
視覚処理が優位なので、図鑑(ピクチャーディクショナリー)や図解を使うと急成長しやすい。
過集中(ハイパーフォーカス)がかかると短期間で大量インプットが可能になる一方で、柔軟な言い換えは苦手だったり、意味の微妙なニュアンス運用は訓練が必要になる。
曖昧な説明は混乱を招きやすく、理屈整理・法則の先出しが有効である。
このように、パターン学習・音模倣・構造整理型の学習法に向いている。
ADHDと語学習得の特徴
ADHDの人は、瞬間的な注意の移動が激しく、インプット時の集中断裂が起きやすい反面、強い興味分野が見つかると過集中スイッチが入り爆発的に伸びることがある。
柔軟な連想思考も得意で、言い換えや表現の拡張に強みが出やすい。
反復練習に耐性がなく、機械的な繰り返し訓練は向いていないが、思いついた言葉をすぐに話す「即時出力型」の出力衝動性が高い特徴がある。
実践会話・イメージ練習・応用展開型に向いている。
共通する強み:音模倣学習の適性
発達障害の人たちは音韻記憶(Phonological Memory)が強いケースが多く、模写力(Imitative Ability)にも優れていることが多い。
歌・洋楽・リズム模倣が極端に効くこともある。音の塊(チャンク)で吸収するのに非常に適性がある。
これがまさにわたしが実践している「音模倣+構造整理」型学習法の有効性の根拠になっている。
- 音韻記憶(Phonological Memory)が強いケースが多い
- 模写力(Imitative Ability)が高い個体が多い
- 歌・洋楽・リズム模倣が極端に効くことがある
- チャンク(塊)で吸収しやすい
注意点(弱点になりやすい部分)
意味の柔軟解釈や行間理解(文脈依存表現の運用)が弱点になることがある。
また、雑多なダラダラ説明は混乱を招きやすい。
曖昧な感情表現の微細な運用も苦手な傾向があり、自由会話での瞬発的言い換えの訓練が必要になる。
しかし、これらも段階的なチャンク積み上げでカバーは十分可能である。
- 意味の柔軟解釈・行間理解(文脈依存表現の運用)
- 雑多なダラダラ説明で混乱
- 曖昧な感情表現の微細運用
- 自由会話での瞬発的言い換えの訓練が必要
結論
発達障害(ASD・ADHD)だからこそ、音から模倣する言語習得に強みを持てるし、図解・視覚整理と非常に相性が良い。
過集中スイッチが入れば爆発的成長が可能になる。
つまり「発達障害=障害」ではなく「適性差」である。
- 音から模倣する言語習得に強みを持てる
- 図解・視覚整理と相性が非常に良い
- 過集中スイッチが入れば爆発的成長が可能
- 反復型・教科書型学習法が合わないだけ
現在の実力と目標

今の私の英語レベルは、A2後半からB1前半あたり。簡単な日常会話のチャンクは少しずつ出てきているけれど、語彙の厚みとスピーキングの瞬発力はこれから伸ばしたい部分。
目標は、半年〜1年でB1後半まで上げて、スムーズに日常会話ができるようになること。
さらに、発音やリズムはB2に近づけたいと思っている。
最終的には、英語でYouTube LIVEに挑戦するのが今の夢だ。
実際にわたしが取り組んでいる学習
ではここで今のわたしが実際に取り組んでいる学習を紹介する。
安心してください、テキストブックは放り投げました!
好きな洋楽をYouTube Musicにプレイリスト化
YouTubeから洋楽を気軽に聞けるようにする。
わたしはタブレットで聞くか、イヤフォンにBluetoothで飛ばして聞いている。
どんな曲を選んでもいいのだが、オススメは英語の発音がハッキリしている曲。
2000年代のR&Bとかその傾向にあってかなり好き。
好きなYouTuberの英語実況を聞く
好きなジャンル(わたしの場合は編み物、ゲーム実況など)のLIVE実況や、雑談LIVEなどを聞く。
これでネイティブの普通の会話を耳に馴染ませていく。
わたしの場合はにじさんじENのゲーム実況(alban knoxがわかりやすくてオススメ)を聞くことが多い。
スラングも学べて一石二鳥。
Swichの言語設定をEnglishにして「あつ森」をプレイ!
遊びながら英語を、という観点では最強なのでは? と思いきってNintendo Switchの言語設定を変えてみる。
日本語の「あつまれどうぶつの森」経験者ゆえ、英語になったところでやり方はわかっているので難なくプレイできる。
面白かったのは、虫や魚、化石、海の幸の名前、家具の名前などを覚えやすいこと。
さらにかなり砕けた住民たちの日常会話(文法ムシのスラングだらけ)を楽しむことができる。
発声してくれればなおいいのだが、自分で声にだして読む練習をしている。
chatGPT活用
ある程度耳に英語が残ってきたら、それをchatGPTに報告する。
たとえばI’m just missing youって歌詞にあったけどなに?
アルバーンがGo aheadって言ってたけどどんな意味?とか。
するときちんと答えてくれるので少しずつ意味や文法を吸収していく。
Notionで整理する(ノートに書かない)
だんだん歌を口ずさんでいるとこの歌詞ってどんな意味なんだろう? と気になってくる。
歌詞を検索して、コピペでchatGPTへ投げる。すると和訳してくれる。
ただそれだけだとつまらないので、わたしは「歌の歌詞からわたしのレベルにあった文法や句動詞をつかったシャドーイング文を作成して」というプロンプトも追加する。
そうするとダダっと例文が表示される。
これをすべてnotionにまとめる(わたしは右脳優位なのでギャラリービューで1ページ1曲のように作っている)。

同じようにゲーム実況から拾った単語もその都度追加していく。
つまり私の場合はnotionがノート代わり。
書いて覚えたりしない。書き留めて整理しておくための外部本棚である。
Picture Dictionaryで語彙力アップ
語彙力があればもっと歌の歌詞やゲーム実況の理解度が高まって面白くなると思った。
けれど英語のテキストは文法ばかりで、こまけぇこたぁいいんだよ!と叫びたくなる。
そこでわたしが取り入れたのはピクチャーディクショナリーだ。つまり「図鑑」である。
子供のころから図鑑大好きっ子だったので、これはわたしでもできるかもしれないと思ったし、語彙だけなら最高の教材だ!
わたしの本ではカテゴリーごとにシーンがまとめられている。
たとえば【学校】【キッチン】【動物園】などだ。 絵を見ながら単語を覚えるというのもわかりやすかった!
そしてこれもchatGPTを活用する。
まず本の見開き2ページを写真に撮って、chatGPTに単語を表にまとめてもらう。→それをnotionにコピペ。
名詞はこれでOK。
次に動詞は表だけでなくシャドーイング文の作成もしてもらう。→ダダっと作ってもらった文章をnotionにコピペ。

わたしは脳内本棚はカテゴリごとにセットすると覚えやすいので、【学校】カテゴリを一気にやる。
そのカテゴリごとの単語数はまちまちだがこれでいい。(ちなみに学校編は48シャドーイングになった)
これで準備は整った!
毎日シャドーイング3セットを1週間
notionに整理したシャドーイング文をそれぞれ1日3回ずつ、順番に声にだして練習する。
わからない発音はGoogle翻訳でも、chatGPTでも発声してくれる。
慣れないうちはゆっくりでもいいが、わたしの場合はチャンクを意識してリエゾン(単語の音と音が重なって発声される)気味に練習している。
同じシャドーイングセットを1週間行う。
するといつの間にかその音が深層心理下に馴染む瞬間がある。
1週間経ったら新しいシャドーイングセットを開始する。
わたうさEnglishでスピーキング練習
さちこさんが経営する「ゲストハウスわたうさぎ」にて、英語堪能なきょーこ先生をお迎えして、スピーキング練習をしている。
わたうさEnglishは「エイゴダーケ」「insider」「佐藤です。好きなおにぎりの具は梅です。」などのカードゲームを使った英語遊びの場だ。
たまにゲストハウスを利用する外国人ゲストも参加して、生のネイティブとの交流が楽しめるのも魅力。
まとめ
私は「学校の英語が苦手だった側」の人間だ。でも発達障害の特性を持つ自分の脳の仕組みを理解したことで、音から吸収して構造で整理する、自分に合った学習法にたどり着いた。
- 好きな洋楽やYouTubeから「耳」で英語を覚える
- ChatGPTやNotionを使って整理しながら積み上げる
- 図鑑(ピクチャーディクショナリー)で語彙を増やす
- シャドーイング、スピーキングで口に出す感覚を育てる
こうして、少しずつチャンク(音のまとまり)が出てくるようになり、今では英語学習が楽しくて仕方がない。
発達障害=苦手 ではなく、むしろ強みにできる分野がある。
もし「学校の英語が合わなかった」と感じている人がいたら、ぜひこういう右脳型・音模倣型の学習法も試してほしい。
私もまだ学びの途中だけれど、このプロセス自体を楽しみながら、少しずつ前に進んでいこうと思う。
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