わたしの病気と原因不明の痛み
わたしは子供の頃から何かと体が弱く、特に腸のはたらきが悪かったので、常に薬を服用したり、入院、点滴などして過ごしてきた。
しかしこれは医学的見解での対処療法で、わたしの体には、医学では原因不明の痛みがある。
子供の頃は、薬の副作用に悩まされ、「薬を飲んでも飲まなくても痛いし辛い」ことに嫌気がさして
同時に、痛みをわかってくれずぽんぽん薬を処方する医者も嫌になって(医者は悪くないのにね)
「自分でなんとかしてやる」と思い、片っ端から病気と健康に関する本を読み漁った。
わたしの病気は、臓器が悪いというわけではなく、はたらきが鈍いとか、鈍痛を感じるもので、
「痛いのに調べると何もない」「じゃあ薬で散らそう」という対処療法しかないと思っていた。
確かに痛みを感じるのに、何もないとはどういう仕組みなのだろう?
ストレスか?
例えるなら、痛いときは、誰かに腹を殴られているような痛みがある。
しばらくするとそれは収まり、またしばらくすると殴られる。時には全身殴られる。
そして何もないところでいきなり眩暈がして倒れたり、自転車の上でふらついたり、気を失うことがあった。
そのため学業にも支障が出て、子供の頭でぼんやりと「わたしってきっと社会で働けないだろうなー」と思った。
(のちにこの痛みの出方が発達障害と関係があるのではとわかる)
西洋ハーブとの出会い
本を読み漁る中で、そこで興味をひいたのが西洋のハーブだった。
ヨーロッパでは病気になったらまず家庭の医学的にハーブを試すらしい。
そもそも病気にならない「未病」を維持するためにお茶や食事でハーブを摂取するらしい。
昔から、イギリス、アイルランド、ドイツに強く惹かれていたわたしにとって、ハーブは魅力的だった。
すぐにハーブの勉強を始めた。それまで植物なんて興味がなかった。名前も知らなかった。
本で見るハーブの話も面白かったが、だんだん本以上の体験をしたくなって、実際にハーブを育てた。
メディカルハーブセラピストの資格も取得した。
そうして、自分で育てたハーブをウォッカに漬けてティンクチャー(チンキ剤。ヨーロッパではお茶に数滴入れて飲む薬のようなもの)を作り飲んだ。
砂糖も入れて味を調えた酒、エレキシルのほうが好みだった。
ハーブ飲料は思いのほかわたしの体にあっていたようで、大きな効果をもたらした。
しかし対処療法ではないので、痛みが襲ってきたときに服用しても意味はない。
もちろん地道に健康な体を作り上げる努力はするとして、今現在のこの憎い痛みをどうすればいいのか、と思った。
そこで、ハーブにまつわる不思議な話を読んでいくうちに、西洋魔術へ辿り着いた。
(西洋魔術のディープな話はこのサイトではしないので、黒猫魔術店のブログへどうぞ)
そこではハーブの不思議な効能についてや、願いを叶えるための信じられないような奇跡めいた術がたくさん書かれていた。
しかしわたしはそれを読んで「そんなまさか」と思わなかった。
ある人に脳科学や心理学を学んでいたので、「魔術って脳科学かも!だったら確かに叶うわ!」と思ったのだった。
それから魔術書を何冊も読破し、日本語訳では飽き足らず、洋書の原本まで読み漁るという集中ぶり。
実際に体験してみないとわからん!となり、高等魔術儀式も何度もやってみた。
やはり、儀式には意味があった。ひとつひとつの所作や呪文の振動など、脳にはたらきかけるものだと思う。
しかし直接的にわたしの痛みを緩和する魔術はなかった。
そのときは良くなるが、根本原因を解決しないと繰り返すようだった。
そこでやはり初心にかえって、ハーブを使ったキッチンマジックを日々実践し、時間をかけて改善していくしかないと思った。
幸いなことに、わたしの父母は畑の菜園が趣味なので、新鮮な季節の野菜はたくさん手に入った。
わたしも少しずつ野菜作りを教わりながら、傍らでハーブを育てた。
家庭菜園のいいところは、無農薬で栽培ができるところ。わたしはそれに加えて、魔術で勉強した「太陰暦農法(月の暦で栽培する)」も取り入れている。
ハーブの不思議な魔法
ハーブの不思議な謂れについても興味があった。
例えば、タイムという可愛いハーブは、メディカル面では強い抗菌殺菌作用があるため、うがい薬やボディウォッシュにも使われる。
しかしおまじない的な意味では、勇気を与え、恋を実らせるハーブだと言われる。
金星のハーブ、水属性、陰性、熱乾の性質
抗真菌・殺菌作用に優れ、特に呼吸器、泌尿器に対して有効。
ティーでもいいが、ティンクチャーやシロップを作りうがい薬やのど飴にすると良い。
禁忌:妊娠中の多量摂取
一見すると関係なさそうなふたつの意味は、共感覚によって色が見えてしまうわたしの視点では、とてもしっくりきた。
なぜなら採れたての新鮮なタイムは、葉の色は新緑なのに、そこから立ち昇るエネルギーが真っ赤なのだ。
たしかにこれは勇気を与えて、強く逞しくさせるだろうと想像がつく。
強く逞しい者は恋が成就するだろうとも思う。
可愛い見た目なのに、摂取するとエネルギーとなって、見た目とは違う効果が発揮されるというのは興味深かった。
単純に面白い。これを、その効果が最大で発揮されるように調整されたレシピがあったらいいのにな、と思った。
例えば、このチョコレートを食べたらメロメロになる、みたいな。
色んな願いにそれぞれ対応した料理、それを作る女であり、母という魔女的な存在の神秘。かまどの女神の神秘。
それまでまったく料理に興味がなかったが、わたしはその神秘に魅入られ、手始めにパン教室へ通った。
パンは魔術の儀式でも、季節のお祝いでも食べられる。そしてハーブを入れやすい。
パン作りは面白かった。そして何より、焼きたてのパンはみんなの心を平和にした。
腸のはたらきをよくするために食べられなかった肉類も、徐々に食べることにした。
そのために調理法を学ぶ必要性があった。タンパク質とビタミンB群が自分には足りないということも知った。
そうやって少しずつ料理を学んでいき、最初は奇怪な化学実験のようなものだったが、食べ物として食卓へ並んだ。
おそらく主婦は、料理に手間や時間をかけないことのほうが多いかもしれないが、
孤独な某ゴローちゃんのように、わたしは美味しいものを食べたいという願望があった。
(それまで病気のせいで少量しか食べられなかったので、せめて美味しいものを食べたいと思っていたのかも)
なので時間をかけて作ることはなんでもない、努力とすら思っていないことだ。
そもそもパンは工程に時間がかかるし、美味しいものは時間がかかると認識があった。
その頭があったので、面倒だと思われがちなお菓子作りも大好きな作業になった。
計る、混ぜる、型をぬく、焼くといった一連の工程が、魔術(錬金術)儀式だとすら思う。
ハーブを入れるだけでもおまじないだが、丁寧に、願いを込めて作るからこそ、効果があるんだと実感する。
(ちなみに時短でお菓子やパンを作っても美味しくない、本当に)
こうして、わたしが作るパンやお菓子、お食事などはすべてに意味と願いがこもったキッチンマジックになった。
フクロウのかまどでは、わたしのキッチンマジックレシピをまとめたいという思い、
そして誰でも台所の魔法使いになって自分の心と体、家族の健康を叶えてほしいという願いがあった。
しかしこの魔法は、最初に書いた通り長期戦ゆえ
一度で叶うと思うことのなきように。たゆまぬ鍛錬と日常の維持が必要だ。