色や光が見える共感覚の話

わたしは幼い頃から人とは違うものを感じていると知った。

わたしが覚えている最初の記憶では、空気中の中に燦燦と降り注ぐ光の粒子がはっきりと見え、

それがカラフルな色であり、まるで万華鏡の中にいるような感覚だった。

そのため、わたしは幼児の頃、よく絵を描いていたそうだ。

物質的ではない、おそらくこの世のものではない、よくワカラナイ、カラフルなものの絵を。

母はわたしが自閉症だということは気付かなかった。

むしろ絵描きのために筆をとったり、言葉を発するのが早かったそうだ。

わたしの家族も、おそらく人と感覚が違っている。

わたしがそれを始めに認識したのは、祖母だった。

ある時、わたしがひとり部屋で遊んでいると、薄暗い廊下の突き当りから「リーン、リーン」という鈴の音が聞こえてきた。

それは次第に大きくなって、幼いわたしは恐怖におののいた。（その時の話を「怖い話」でまとめたのがこちら）

霊感があり、そういう生業をしていた祖母曰く、「鈴の音が鳴ったら気付かないふりをする」というのが最善策だと。

ということは祖母にもこの音が聞こえているんだと思った。

わたしは常に蝉の鳴く音が耳の中で響いている。

これはみんなに聞こえる空気の振動みたいな音だと思っていたのだが、どうやらわたしだけに聞こえていると気付いたのは小学生の頃。

「なんかみんなと話嚙み合わないな？」と認知したからだった。

その話を父にすると、「工場の音のようなものは、俺も聞こえてるよ。それ普通だから」と一瞥。

やっぱり父も変わった人なんだと思った。

４つ下のわたしの弟は、もっと特殊だった。

弟が描いた絵はこの世のものではないものに溢れていた。

目がいっぱいある何かや、三つ目で胴長のヒト型のものなど、わたしの見え方とはずいぶん違って、ホラーだ。

音に敏感で、怖い体験は何かの声や音からキャッチするらしい。

ホラーと言えば、たしかにわたしの絵もそう見る人がいた。

小中学生の頃、絵画の授業で風景画を描いたとき、わたしは紅葉が炎に見えた。

冬の停止した季節の前に、山火事のように生命力を燃やす紅葉を、見たままに描いたら「真面目に描きなさい」と先生に怒られた。

グラウンドの遊具も、秋には歪んで見えた。

おそらく何もかもが秋には生命力が高まって、空気中の色の濃度が高くなるからだと思う。

色のついた霧のように見え、光が屈折して見えるので、ブランコもジャングルジムも鉄棒も、歪んで見えるのだった。（まるでダリの絵だね）

わたしがこの能力を日常で使うこともあった。

買い物へ行くとき、生鮮食品のパックのなかで光っているお肉やお魚を買うとか。

あまり光っているものは腐る寸前なのでヤバいとか。

正直で、明るく、潔い人は光って見えるので信じても大丈夫。

逆に、嘘つきで、怠惰で、人のせいにする人は色も濁っているし、匂いも臭い。

病気があるところは黒っぽく見える（これはそこを防御しているからだと、魔術の勉強をして知った）。

わたしは嘘を見抜き、逆に本質を理解してしまうため、現実社会ではお荷物扱いになった。

それでもわたしは嘘つきだらけの濁った色の現実社会で生きるより、カラフルな万華鏡で生きた方が素晴らしいのではと思った。（ポジティブすぎる）

だってわざわざ色を濁らせる必要性はないでしょう？

幸いなことに、上記の変わった家族から「この能力は霊感」というふうに教わっていて、山へ修業も行かされていた(笑)。

この能力で霊視をした。人によっては色の他にも、毛玉（しっぽのような動物）や、人型の光を持つ人もいた。

せわしなく走り回る丸い光もいた。それが動物や、指導霊や、水子であった。

大人になって自分がASD、ADHDという脳の発達だと診断され、それを詳細に調べていったところ

音や香り、感覚がすべて色や光に見える「共感覚」というものだとわかった。

わかりやすく例えるなら、わたしが見えている色はゴッホの絵のような、様々な色が点描で乗っているキャンバスのように見える。

たしかに、大好きなベートーベンの曲も風景がそのように見えてくる。

共感覚は主観的らしいのだが（見えている色はわたしの主観なので、違う共感覚人が見ると違う色に見える）

しかしそれだけでは説明できない、動物や指導霊や水子なんかも的中するので、仕組みがまだよくわかっていない。

わたしの考えでは、

その人が考えていること→気持ちや言葉などの目に見えないものに変化→

それが霊体に影響を与える→それが色や光に見える

という流れだ。

なので考えが変わったり、経年によって色は変わると思う。

それは季節や天気によって気持ちが変わったりするのと同じような自然現象だと考えている。

しかしベートーベンの曲のように、その色から変わらないものもあったりする。

まだまだわたしの見えるものについて研究中だが、色んな人の絵を描いては解説していきたいと思っている。

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