わたしは名刺を貰わないし、渡さない。
名刺を貰っても困るし、名刺をやり取りして挨拶を交わしても無意味だとすら思う。
そんなマイノリティーなわたしの話。
名刺が不思議すぎて謎
どうして皆、仕事上で名刺(business card)をやり取りしているのだろうと、不思議に思う。
わたしが社会人になったばかりの若かりし頃は、それが社会の慣習だということで納得し、自分の名刺を作って挨拶を交わしたこともあるが、この疑問は決して払拭されることはなかった。
もちろん「名刺交換」なる儀式を積極的にやりたい人もいると思う。
それが当たり前だと、疑問を持たずに行える人もいると思う。
というかそれが大多数だと思う。
そういう人々を否定したいわけではない。
人に迷惑をかけない限りは、やりたい人はやればいい、という主義だ。
だけれども、わたしは名刺を貰わないし、渡さない。
相手が名刺を差し出して挨拶をしようとするときに、わたしは「ノー」という風に手を翳して、
「わたしは名刺を貰うことはしていません」と言う。
はっきりとした「拒否」を示す。
そうすると、多くの人が不思議がって戸惑うので、ここで少し「なぜ名刺を貰わないのか」について記しておこうと思う。
理由①名刺を貰っても無意味
名刺を貰わない一番の理由は、「貰っても無意味だから」ということだ。
わたしは発達障害の特性により、「すぐ忘れてしまう」。
他の人から見れば、「え? じゃあ名刺は貰っておいたほうがいいじゃん」と思うかもしれないが、ところがどっこい、紙媒体はどこに置いたかすぐ忘れてしまう。
たぶん色んなところに置いてしまったり、どこかに仕舞ったりして、忘れてしまう。
では所定の位置をつくったり、ファイルに保管すればいいじゃない、と言われるが、それすらも忘れてしまう。
今や便利なアプリがあって、それに名刺を保存しておけばいいというのを知っているが、それもだめだ。
なぜなら、そもそもいつ、どこで、どんな人に名刺を貰って、どんな話をしたのかすら忘れる。
そりゃそうだ、わたしは記憶忘れが激しくて仕事の進捗すら昨日のことを忘れている。
頭に霞がかかったような感覚なのだ。自分のことですらそうなのだから、他人のことなど覚えているはずがない。
(ちなみに学生の頃はたいへん困ったのだが、
今はスマートフォンのなかのカレンダーやタスク機能を活用して、「なくしてしまう」ことは防げるようになった)
なくしてしまうことがなくなったとしても、思い出すことができなければ無意味だし。
そうなれば名刺に書いてあることも、ただの文字、つまりゴミにしかならないのだ……
名刺をゴミだなんて……と大変失礼なきもちになってしまうのも嫌で、それならいっそ名刺を貰わないで断ることにしている。
その一枚を、有効活用できる人へ渡してください、と思っている。
理由②当たり障りのない会話が苦手
名刺を受け渡しする際の、当たり障りのない会話が苦手である。
わたしは、理解できることと理解しづらいことの差が激しい(たとえば計算するとか、ジョークを言われたら笑うとか)ので、共通の話題がない会話というのがやりづらいのだ。
一時期、このコンプレックスと和解しようと思って、キャバ嬢のごとくあらゆる話題に精通しようと、あらゆる本や新聞などを読み漁った。
だいたい年上と接することが多かったから、その当時に流行ったものや歌を覚えて、会話についていけるようにした。
でも、好きなもの(アニメや歌など)ならともかく、別に好きじゃないもの(スポーツや政治)は、覚えても面白くないし、仮にその話題で盛り上がってもつまらない。
やっぱり自分の素のままで、好きなものの話題で、楽しく会話できる人と接したほうがいいと思った。
名刺交換をして百人と知り合えたとしても、どうせそのなかで合う人はせいぜい片手で数えるくらいなのだし。
そのあとコミュニケーションをとる場合も、百人とやり取りできるはずもない。
わたしは百人より、選ばれし三人と仲良くしたい。
そうすれば自ずと名前も顔も覚えるから、名刺なんていらない。
理由③肩書きが面倒
名刺に書かれてある「肩書き」が面倒くさい。
その肩書きで媚びを売ったり、仲良くしようと努めたり、損得で付き合う感じが醜い。
正直、人様の事業とかどうでもいいし、自分もそうだが、肩書きなぞカッコよく銘打った体裁なのだ。
国家資格だったり、役職だったり、経歴だったり、うーん、本当にどうでもいいことだ。
衣服に例えていうなら、名刺や自己紹介での肩書きはコートと同じだ。
とりあえずカッコいい見栄えがするのだが、玄関先で脱ぐものだ。
もし交流が深くなって相手のお宅にお邪魔する際にも、コートは玄関先で脱ぐものだ。
肩書きに囚われていない人付き合いをしている者同士ならそれでいいのだが、得てして人々は肩書きに左右されるものだ。
だいじなのは上着も下着も脱いだ素っ裸の「心」とか「本音」なのだが、まあふつうはそこまで脱がないから「建前」どまりになる。
肩書き→建前→本音
という経路を辿る、一般的な付き合い方が、とてもとても面倒に思うのだ。
だって、わたしには深層心理の色まで見えちゃっているから、なんか体裁を装っている姿が哀れに思えてしまうのだ。
それは大変失礼なことであるが、でも、そういう人もいると思うし、そういう人のやり方を否定する気もない。
わたしが面倒に思うので、積極的には関わらない、ということをしている。
理由④肩書きに反応されるのも面倒
わたしが自分の名刺を渡すとき、肩書きに反応されることも嫌だった。
かつて、わたしの名刺には、こう書かれてあった。
「CHOVICO 黒猫魔術店代表
魔女
蜜猫 コノミ」
すると、「魔女」という肩書きに対する反応は、二つに分かれた。
①見下す、滑稽に思うタイプ
ほんとうによく笑われたし、馬鹿にされたし、「趣味の延長」「お小遣い稼ぎ程度の事業」と罵られた。
わたしはこう言われたほうが逆に燃えるたちなので、そんなこんなをblogやYouTubeのネタにしたから、まったく傷心しなかったのだが、
まあ一定数、外見だけしか見ない人というのは存在する。
②取り入って見返りを求めてくるタイプ
わたしにとって「魔女」は「普通」で、わたしの日常である。魔女だから特別とか、才能があるとか、まったく思っていない。
ほんとうに、わたしにとって普通の生活をしているだけなのに、なんかそこに果てしない魅力や期待を感じて「仲良くしたい」という方向で合わせてくる人がいる。
無理がなければいいけど、頑張って仲良くなる、というやり方はあまり宜しくないように思う。
だって「頑張って」いるからにはきっと見返りがほしいものでしょう?
でも自然な友達(仲良し)だったら、見返りがなくても、頑張らなくても、友達だと思う。
実際、そうやって関係性に見返りを求められたことが多々ある。
見返りに応じないと、今度は嫉妬したり、嫌がらせやストーカーしたり、あるいは諦めてまた別の誰かを探す旅に出るようだった。
皮肉をこめて、どうぞ前世で来やがれです。
理由⑤SNSで交流できるから
名刺を貰っても、その後に交流できなければ意味がない気がしている。
一般的に、名刺を貰ってどのくらい交流するかは人によりけりだと思うが、わたしは、「名刺を貰っても交流しないなら貰わないのと同じ」という認識だ。
ひと昔前までは「名刺交換」「名刺配り」が挨拶であり、自分を知ってもう機会だったわけだが、
今やSNSがあるんだし、わざわざ名刺交換したり名刺を配り歩かなくてもいいような気がする。
これは年々ますますそう思えてきて、自主的に名刺を配る行為は、セールスのチラシ配りと同じような価値しかないのではと思うほどだ。
たとえば年賀状のやり取りも、年々慣習が薄れてきたように思う。
それだってSNSやLINEで気軽に挨拶ができるから、という時代の変化に伴った価値観の移行だろう。
ならば名刺も、SNSがその代わりを担ってもいいよな。
大手企業なら難しいが、個人事業ならば自分のことも事業のことも発信できるし、
こちらから連絡しなくても、相手が今何しているのか、定期的に見ることができる。
これはお便りとかフリーペーパーが届くような感じに近い。
挨拶だけにとどまらず、贔屓にしているショップのスケジュールやイベントもわかるし、その人がどんな人と交流しているのかもわかる。
つまり、名刺のような薄っぺらい情報よりもはるかに優れた情報量があるのが、SNSだ。
わたし的には、名刺を貰うよりもSNSで繋がったほうが覚えやすいし、便利だ。
仲良くしたいならLINEで直接繋がればいいのだ。
名刺なんかよりだんぜんラクだ。
結論:自然がいちばん
名刺があるから、上っ面の外見しか見えないのではないか。
そもそも、自然に出会って、深く付き合うことになる人とは名刺交換という儀式のフラグが立たないし、
肩書きという謎の先入観がないから、最初から共通の話題・本音トークで盛り上がれる。
しかも、「自然に仲良くなれる人」は、色が綺麗だし、自然に空から降ってくる。
わたしが計画したり、仲良くなろうとか思わなくても、自然にそうなっているのだ。
そういう人とだけ付き合えればいい。
わざわざ名刺のやり取りをしなくても、必要があれば付き合うことになるし、
わたしのことが気になったのなら、声をかけてきてくれればいい。
なんかわたしは積極的に動かずにいるほうが、とてもいい循環で恵まれると感じる。
でも、みんな違って、みんないい。
わたしと違う意見の人がいてもぜんぜんいい。
ただ、わたしは、わたしのやり方で! ということでヾ(*´∀`*)ノ
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「深音アート」、この記事も追々書きたいのですが、とりあえず今は降って来る文字を書き起こさせて!
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