わたしの著書『共感覚の魔女:カラフルな万華鏡を生きる』(現代書館)の万華鏡の欠片を集めた短話集のなかから、「レモンゼリーの銀河(p.84)」を深堀り・考察していく。
白っぽいと思っていた色は、実は半透明の蛍光イエローに発光していた。たとえるならレモンゼリーのようだった。(中略)
そのかわり上部からは、スプーンでゼリーを掬うようにして切り離されたゲル化した個体が、無数にふよふよと飛び交っていた。(中略)
宇宙の誕生とか、星々や銀河が生まれるところに立ち会った気分だった。恐ろしいものであり、美しいものだ。
(『共感覚の魔女:カラフルな万華鏡を生きる』より引用)
もしもあなたの目の前に、得体の知れない未知の生命体(仮)が現れたらどう思うだろうか。
幻覚? それとも異世界転生とか?
わたしが病室で見た「レモンゼリー」
「レモンゼリーの銀河」に出てくる「レモンゼリー状のなにか」は、実際にわたしが子供のころに病院で「見た」ノンフィクションの話である。
といっても、実際に見たわけではないだろう。わたしの共感覚(五感で感じるすべてのものが色や光や形になって見える)から「感じた」ものだ。
もし物理的にそこにUMAがいたら、それはそれで面白かったのだけれど、とにかく、当時のわたしはこれを「霊的な存在」だと思ったのだった。
なぜなら「それ」は、神秘的で、恐ろしくて、美しかったからだ。
ここらへんはネタバレを含むので、ぜひ本書を読んでもらいたい。
どうしてそれが「銀河」に見えたのか
わたしは例の「レモンゼリー」が爆発したときに、直感的にこれは「宇宙」だと思った。
この部分について、わたしの思考の順を追って深掘りしていきたい。
①レモンゼリーの蛍光と透明感
透けて、歪んで、ぼやけて、光が屈折するレモンゼリーの物体が、星雲の光の拡散のように見えた。
星雲は光がガスのなかで屈折することでぼんやりとした光を放つ。
レモンゼリーも同様に、蛍光イエローに光っていた。
②無数に増殖する=宇宙の誕生(ビッグバン)
ゼリー状のものは上部を分裂して浮遊し、まるで蛍が漂うかのように増殖していった。
何もなかったところから星々が生まれるかのような、美しい光景で、きっとそれはビッグバンかもしれないと思った。
(しかも最後に破裂したから尚更)
③破裂、超新星爆発ともいえる?
レモンゼリーは最終的に内側から破裂した。
本書のなかでは「ビッグバン」と表現したが、深掘りして考えてみると超新星爆発にも似ているかもしれない。
ビッグバンのあとに、星が寿命を迎え爆発する……その明るさは銀河全体を照らすほどなのだそうだ。
共感覚の情報が、宇宙とリンクする理由
どうしてわたしの共感覚が、病院の空間をまるで宇宙であるかのように見てしまった(感じてしまった)のか?
共感覚をもっていない人にもわかりやすく自己分析してみるとこうだ。
脳のなかで無意識に「過去の記憶」や「知識」と結びつくのではないか
わたしのなかでは「透明で蛍光の光の拡散・増殖」や、「破裂」「大爆発」という要素が、「宇宙の成り立ち」と一致したのではないか説。
わたしは幼いころから図鑑大好きっ子。
計算はできないけど理科大好きっ子だった。
自然や宇宙や生き物の神秘が大好きだったので、そういう知識は豊富にあったことだろう。
これ以降はトンデモ説を提唱するので、面白半分で聞いてね↓
①神経ネットワークと宇宙
宇宙の研究で「人間の神経ネットワーク」と「宇宙の構造」が似ていることがわかったのだそう。
詳しくは↑リンク記事を参照のこと。
ここからがわたしが思うトンデモ説なのだが、
もしかしたら人間の脳は宇宙を内包しているのではないか。
魔術の研究をしていたころも、「人間は、宇宙を小さくしたもの」という意味の「ミクロコスモス」、実際の宇宙を「マクロコスモス」と表現し、体系を学んだ。
魔術の基礎である『エメラルド・タブレット』でも「上にあるものは、下にあるものの如し」と教えている。
マクロとミクロの関係は、目に見える大きさが異なるだけで、構造自体は同じ、または似ているのではないか。
つまり、わたしは宇宙の一部であり、宇宙もまたわたしの一部なのである!(皆さんついてこれてますか?)
②共感覚者は波長を感じている?
わたしは五感で感じた情報が色や光に変換されてしまうのだが、たとえば、色や音などは波長で表すことができる。
光や音にはそれぞれの波長がありわたしはそれを感じとるが、光や音の区別を認識できないので、すべてが「色」ということで処理される……のではないか。
わたしたちが生きている「地球」「宇宙」も、あらゆる光の波で満ちている(電磁波である光、ラジオ波、X線など)。
そもそも人間の五感は、これらの波長を感じとる仕組みになっている。「可視光線」がそのいい例だ。
で、共感覚者はこの「波長の感知力」が優れているのではないか。まるでぶっ壊れたアンテナのように。
レモンゼリーの話に戻ると、空気中に漂う微細な波長と、宇宙の波長(行ったこともないから想像だが)がなんかこう、うまくマッチして、レモンゼリーの銀河が見えたのではないか。
(なんかこううまくマッチするところは、専門家の人、研究してください)
③フラクタル構造の神秘性
フラクタル構造とは、自然界における自己相似性という性質によって、図形の全体とパーツに同じ形が再現される構造のことだ。
たとえば、入道雲や雪の結晶、巻貝、葉っぱの形状、人体の血管構造など。
もちろん宇宙もフラクタル構造をもっており、銀河もフラクタル的に分布している。
わたしはこのフラクタル構造に神秘性を感じるところがある。
「フラクタル」というとちょっと現実的なので言葉は出していないが、本書の至るところで「繰り返し流れる」ような言葉や、モチーフが登場するのがおわかりいただけるだろう。
畑をやっているとそれはそれは神秘的なのである。
アーティチョークの蕾や、キャベツの葉っぱの巻き方。
どれもこれも自然の美しさやアイデンティティを感じる。

また、わたしが何も考えず、トランス状態で抽象画を描くとき、フラクタル構造になりやすい。
同じパターンの繰り返しや、大小、拡大縮小のような形を描いてしまうのだ。

そういえば発達障害ASDのアーティストって、点描画とか、細かい線画とかが多い気がする。
フラクタルに魅せられているのかもΣ(゚д゚lll)
「レモンゼリー」のことを、恐ろしくも美しいと感じた背景には、フラクタル構造を感じたからに違いないだろう。
分裂していく様にはなにか法則性があり、同じパターンの繰り返しを感じた。
話は大爆発で終わるが、おそらくその後もまた小さいレモンゼリーが徐々に大きくなって、分裂して、破裂する、きっとその繰り返しなのだろう。
もしもあなたが宇宙を見たら
共感覚者が見ているものには、不思議で感覚的なものばかりで理解に苦しむと思われがちだが、視点を変えれば科学的に考えることも可能(ただ素人なので単なる仮設)。
けれど、みんなが当たり前のように享受している空気だって、視力だって、ほんとうのところどんなものなのか、実際に見えているものが違うかもしれない。
わたしたちは良くも悪くも固定概念に囚われる生き物であるが、
まっさらな気持ちで、あなたがあなたの世界(宇宙)を見つめたとき、意外な見え方(可能性)があるかもしれない。
わたしはね、希望的観測で「宇宙のゲートが開く」とか「なんてら開運日」とかで、宇宙や日々を見つめたくないの。
今あるがままの、空気を感じて、ただ存在するためだけに生きる、美しい景色を見ていたいの。
そこに理由付けは要らないの。
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